両儀鍼灸院のとがわです。
眠れない状態と自律神経の乱れ
「なかなか眠れない(入眠困難)」場合、単純に「疲れているから眠れる」とは限らず、自律神経の切り替えがうまくいかない状態が関係していることが多くあります。
本来、睡眠に入るときは、
- 交感神経(活動・緊張)↓
- 副交感神経(休息・回復)↑
という方向へ移行します。
しかし、ストレス・不安・生活リズムの乱れなどにより、夜になっても交感神経が高いままだと、身体は休息モードに入りにくくなります。
1. 交感神経が高ぶったままの「覚醒状態」
日中、交感神経は必要な働きです。
例:
- 集中する
- 判断する
- 身体を動かす
- 危険に対応する
しかし夜まで続くと、
- 頭が冴える
- 考えが止まらない
- 心拍が気になる
- 身体は疲れているのに眠れない
- 布団に入ると目が覚める
という状態になります。
これは脳が「まだ活動時間」と判断している状態です。
2. HPA軸(ストレス反応)との関係
慢性的なストレスでは、
視床下部
↓
下垂体
↓
副腎
というストレス反応系(HPA軸)が刺激されます。
その結果、コルチゾールなどのストレス関連ホルモンのリズムが乱れることがあります。
本来は、
朝:コルチゾール↑(覚醒)
夜:コルチゾール↓(休息)
ですが、夜に高い状態が残ると、
- 疲れているのに眠れない
- 夜になるほど不安になる
- 明日のことを考える
というパターンになります。
3. 副交感神経に切り替わらない原因
① 精神的緊張
例:
- 仕事
- 学校
- 人間関係
- 将来への不安
脳が「問題解決モード」になります。
↓
夜、静かな環境になると考えが増えることがあります。
② 眼・脳の過覚醒
スマホ・PCなどによる刺激は、
- 視覚刺激
- 情報処理
- 感情刺激
を続けます。
特に寝る直前まで情報を入れると、脳が休息に入りにくくなります。
③ 体温リズム
眠気は、
深部体温が下がる
↓
睡眠に入りやすい
という流れがあります。
交感神経優位だと血管収縮が起こり、
- 手足が冷える
- 身体が緊張する
- 体温放散がうまくいかない
場合があります。
鍼灸的な見方
東洋医学では「眠れない」を単純に一つの原因とは見ません。
代表的には:
心神不安
(精神活動・情緒の安定が乱れる)
症状:
- 寝つきが悪い
- 夢が多い
- 不安感
- 動悸
関連穴例:
- 心経(手の少陰心経)
- 心包経(手の厥陰心包経)
取穴では:
- 神門
- 内関
- 郄門
などがよく使われます。
肝気鬱結(ストレス型)
特徴:
- イライラ
- ため息
- 胸脇部の張り
- 寝る前に考え込む
関連穴:
- 太衝
- 期門など
「気を巡らせる」考え方になります。
脾虚(考えすぎ型)
特徴:
- 心配性
- 頭が疲れる
- 胃腸が弱い
- 眠りが浅い
関連穴:
- 足三里
- 三陰交
など。